台湾の統一地方選と、嫌韓!?
先日、衆議院が解散されました。実は台湾もまもなく選挙です。29日に統一地方選が行われます。
選挙目前のこの時期にいたり、国民・民進両陣営による舌戦が熱気を帯びています。
そんななか、東洋経済にこんな記事がありました。↓
「嫌韓CM」席巻!台湾の過激な選挙事情
台湾の選挙事情を報じた日本のこの記事が、今度は台湾の自由時報(緑寄り)によって逆輸入され、国民党を批判的に捉える記事になっていました。
「日本メディア『国民党は韓国を応援団に 選挙のために嫌韓感情を煽る』」と題する記事で、「国民党は先日、韓国を使って怪しげなイメージに仕立てた広告を打ち出した。韓国メディアはこれについて、『韓国の名誉を傷つける』ことで台湾選挙民を煽動する意図があるとして批判をしていた。その後、日本メディア『週刊東洋経済』もこれについて報道。国民党は、台湾に存在する『嫌韓』感情を煽る選挙広告を用いたとして、これを批判した。さらに、国民党は韓国を『応援団』のようにしている、過去には韓国を引き合いに出して民進党を攻撃した、とも報じた。」と紹介されていました。
確か今年の頭頃からずっと、新聞やテレビで統一地方選は度々ホットな話題となっていました。
今回の台北市長選で注目を集めているのは、この二人です。
連勝文と柯文哲
この2人について、若干観点に偏向はありますが、春くらいから頭に残ってきた情報をご紹介します(笑)あ、間違いなどあったら遠慮なくご指摘くださいね!
連勝文は、李登輝政権下で外交部長、行政院長、副総統などを歴任した連戦の息子です。もちろん、中国国民党籍の候補です。連戦の父、つまり連勝文の祖父に当たる連震東は、慶応大学卒。日本の台湾統治時代、台湾から中国大陸に渡り国民党に身を投じ、戦後台湾へ戻りました。
二二八事件、その後の白色テロ、国民党独裁などを経験している戦後の台湾人にとって、大陸帰りの台湾人は、いわば国民党のお先棒を担ぐ裏切り者でした。同じ台湾人でも、全く政府に登用してもらえない本土人と、大陸帰りで国民党に協力していた者とでは、政府での待遇が全く異なったためです。そのため台湾人は、大陸帰りの連中を軽蔑の意味を込めて、「半山」と呼びました。当時、中国人のことを「唐山」とよんでいたことから来ているそうです。つまり、「半分中国人」という意味でしょうか。
柯文哲は、台湾大学病院の医師です。父は小学校教師でした。ベルトに携帯電話のケースをいつもつけており、それが庶民派的トレードマークともなっているようです。連勝文が国民党ですから、柯文哲は民進党かと思いきや、実は無所属です。一時期は民進党の候補となるかどうかが注目を集めていましたが、結局入党はせず無所属での立候補となりました。民進党はそのため、一時期は独自で候補者を立てましたが、世論調査の結果柯文哲に支持率で追い付けず、出馬を取りやめました。緑陣営の民進党と台湾団結連盟は現在、柯文哲の支持に回っています。
記憶にまだ新しいひまわり学生運動の支持者らは、概ね柯文哲支持に回っているようです。学生らは「中国と距離を保つなら、民進党支持」、というわけではなく、広く現状に対する不満のはけ口としての第三局を求めた結果、柯文哲を支持する層が出てきているようです。学生らは民進党に対しても、不満が溜まっていたというわけですね。ただし支持層のこうした背景から、青陣営は対中関係悪化の可能性を考慮して、「経済を投票の目安にしたら国民党に入れるしかない」との批判を受けています。
なんとなく、「青陣営、中国・財界寄りの連勝文」、「緑陣営、本土派・庶民派の柯文哲」、みたいな紹介の仕方になってしまいましたね(笑)
現状分析では、連勝文の劣勢と目されているようです。ただ、連勝文の強みは国民党の地盤による組織動員にあります。最後の2日が勝負を分けるとも言われています。ある学者などは、「陸軍の連勝文、旧来の組織動員で地に足のついた票集め」「空軍の柯文哲、若者中心に幅広く支持を集めることに成功するが、足元は不安定」と例えていました。
ところで、台湾の選挙を見ていて思うのは、日本と違って敵陣に対する批判の仕方が、かなり露骨だということです。上記の広告もしかり。
その他にも…
上記の記事と関連して、「韓国が言っている、ありがとう!と。ありがとう民進党、立法院で法案を阻止してくれて、と。」
柯文哲事務所に盗聴器が仕掛けられていた事件について「自作自演だ!」
「民進党の詐欺」の文字
これらは、全部本日付の中国時報に乗っていた広告です。日本とは風土が違いますね〜